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『やまと言の葉』

神無月朔日歌合

歌合とは…
歌合(うたあわせ) とは、平安の昔より歌詠みを左右に分け、和歌の優劣を競った、清雅な競技です。
かつては雅な遊びに近いものでしたが、次第に歌詠みの矜持をかけた重いものとなります。
また、時代の変遷により、事前に題を出して歌を召し、実際に顔合わせすることのない形も多くなり、また時を超えて過去と現在の歌詠みによる和歌を番(つが)える『時代不合歌合』もあったのです。
鎌倉宮で御朱印を受けられた方々の心に、やさしく、うつくしい、『やまと言の葉』をご紹介したく、毎月二回、一日と十五日とに、古今の歌詠みたちによる秀歌と、当職の和歌とを番えています。
鎌倉宮第二十六代宮司( 國學院大學短歌研究会 第一〇三期会長) 小岩裕一識


令和三年神無月朔日歌合

    新古今和歌集 秋歌上
おしなべて 思ひしことの 数々に
       なほ色まさる 秋の夕暮
        後京極摂政太政大臣
    平成四年壬申歳  
来ぬ人も 眺めにけりな うら寂し
       多摩の河原の 夕暮の空
        第二十六代 鎌倉宮宮司 小岩裕一


 神無月朔日の和歌
古来より、「秋の夕暮れ」ほどに、王朝歌人たちを魅了したものが、あったでしょうか?
たそがれどき、暮れ行く秋の空は、何とも言えない哀愁を帯びて、時が永遠のようで永遠ではない印象を感じさせます。
誰もが、胸の内に言いしれない思いを浮かべる茜色の眺めは、私たち日本人の「心の原風景」のひとつでしょう。
掲出の一首は、誰もが共感しながらも、言葉にするのが難しい世界を一筆書きに描いた、不世出の天才・九條良経による絶唱です。
今も昔も変わらぬ「秋の夕暮れ」に、何を思うか…やはり、我が国の「秋の夕暮れ」は、まるで命あるものの如く、私たちの胸に響く「絵」なのです…。

鎌倉宮第二十六代宮司( 國學院大學短歌研究会 第一〇三期会長) 小岩裕一識 

神無月望日

令和三年神無月望日歌合()  
 
 
     新古今和歌集 秋歌上
変はらじな 知るも知らぬも 秋の夜の
  月待つほどの  心ばかりは
          上東門院(じょうとうもんいん)小少将(こしょうしょう)
  
 
     平成二十四壬辰歳 
 澄みにけり 浮かべし空は それながら
    思ひ果て無き  月の面影
       大塔宮鎌倉宮 宮司(第二十六代)  小岩裕一


神無月望日の和歌
 
 月は、今も昔も人々より特別な思いを寄せられてきた存在です。
 中でも「秋の夜の月」は別格、王朝和歌でも数多くの名作が生まれています。
 掲出の一首は、非常に分かりやすいもの。  
 詠み人は上東門院彰子、つまり藤原道長の娘・彰子に仕えた女房で、紫式部や和泉式部、また赤染衛門や伊勢大輔と同僚で、その風雅なサロンを彩った、綺羅星のような存在のひとりでした。
 この一首は、一千年の時を超え、その優雅で濃厚な、絢爛たる香気を、私たちに伝えているのです…。

鎌倉宮第二十六代宮司( 國學院大學短歌研究会 第一〇三期会長) 小岩裕一識


  
 
 
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